③合っているはずなのに、なぜ落ち着かないのか
合っているはずなのに、なぜ落ち着かないのか
総入れ歯の形は合っている。
外れにくくもなっている。
見た目も、大きな問題はない。
それでも、
なぜか楽にならない。
噛むと、無意識に力が入る。
食事が終わると、どっと疲れる。
口を開けるのが、少し不安になる。
こうした感覚は、
検査の数字や、模型の上では
なかなか説明できません。
この段階で起きているのは、
「合っていない」という問題ではなく、
体が緊張したまま使っている
という状態です。
総入れ歯は、
口の中でじっとしているものではありません。
話すとき。
噛むとき。
飲み込むとき。
口を開けるとき。
周囲の筋肉や舌と一緒に、
常に動いています。
形だけが合っていても、
その動きの中で
どこかに無理があると、
体は自然と身構えます。
その結果、
「頑張って使う」状態が続いてしまいます。
これは、
我慢が足りないからでも、
慣れていないからでもありません。
体が、守ろうとしている反応
です。
この段階では、
「もっと精密に」
「もっと外れないように」
という調整を重ねるほど、
かえって緊張が強くなることもあります。
うまく使おうとするほど、
うまくいかなくなる。
そうした矛盾を感じる方が、
このフェーズにいらっしゃいます。
ここで必要になるのは、
「正しく使う」ことではなく、
「力が抜ける状態」を探すことです。
噛もうとしなくても、
噛めている。
意識しなくても、
外れていない。
そんな感覚が、
少しずつ戻ってくることがあります。
このフェーズでは、
治療が前に進んでいないように
感じることもあります。
けれど実際には、
体が安心できる方向へ
調整が始まっている段階です。
ここに気づけると、
「自分が悪かったわけではなかった」
と、ほっとされる方が多くいらっしゃいます。
総入れ歯の治療には、
「形」だけでは説明しきれない領域があります。
その存在に気づいたとき、
次の段階が見えてきます。
※ このブログについて
この記事は、
総義歯治療を「段階的に理解する」ための
連載の一部です。
次回は、第④回
総入れ歯が“整っていく”という考え方
https://www.souireba.com/2026/01/29/1326/
についてお話しします。
澤田歯科医院
院長 澤田宏二
~ 連載全6回 ~
①総入れ歯が、うまくいかないのには理由があります
https://www.souireba.com/2026/01/29/1319/
②一般的な総入れ歯治療が、大切にしていること
https://www.souireba.com/2026/01/29/1322/
③形は合っているのに、なぜ安定しないのか
https://www.souireba.com/2026/01/29/1324/
④総入れ歯が“整っていく”という考え方
https://www.souireba.com/2026/01/29/1326/
⑤なぜ澤田歯科医院が、この考え方に辿り着いたのか
https://www.souireba.com/2026/01/29/1328/
⑥澤田歯科医院を受診される前に知っておいてほしいこと
https://www.souireba.com/2026/01/29/1330/
