総入れ歯治療
Complete dentures
総入れ歯治療の問題と
患者さんへの影響
総入れ歯治療
良い総入れ歯を作るために、患者さんが知っておくべき知識を分かりやすくまとめてみました。今の総入れ歯が合わなくて作り直そうとしている方や、これから総入れ歯を作ろうとされている方には是非とも参考にしていただきたいと思います。
現代の総入れ歯治療の
問題点
現代の総入れ歯治療には2つの大きな問題があります。
1つ目は、総入れ歯治療を得意とする歯医者の絶対数が少なく、また今後も減り続けるであろうということ。
2つ目は、良い総入れ歯を保険の範囲内で作ることが事実上難しいことです。
確かに、保険の範囲内で総入れ歯が作れればそれに越したことはありません。保険外で作るとけっして安くないですから・・
ただ、現実問題として保険の範囲内では入れ歯の形をした”もの”は作れても、とても良い総入れ歯と呼べる
“しっかり噛めて、外れにくく、歯ぐきのどこも痛くない” 総入れ歯は作れないのです。
特に、難症例に分類される患者さんの総入れ歯は、保険内で許される時間と材質では、難しいです。
悲しいことですが、これを現実問題として受け入れていただく必要があります。
では、良い総入れ歯を
手に入れるには
どうすればいいか?
結論として保険外治療で、ある程度お金をかけて作る必要があります。
しかも、総入れ歯治療のうまい歯科医で、良い材料を使い、じっくり時間をかけて作ってくれるところを探す必要があります。
澤田歯科医院が作る総入れ歯の特徴
澤田歯科医院には
- 私自身が総入れ歯治療専門で30年以上の経験があること
- 患者さんにとって最適な材料を選んでいること
- じっくり時間をかけて作ること(そのため一日の患者数に上限を設けています)
- 技工と言われる総入れ歯作り自体も外注せずに院長が自ら行うこと
- そしてなんと言っても私が総入れ歯作りが大好きなこと
などの状況下で入れ歯を作製することができるため、
- カンタンには外れない
- 噛んでも歯ぐきが痛くない
- 美味しく食べ物を噛める
3つの条件を含む入れ歯を製作できます。
澤田歯科医院で提供している総入れ歯づくりのメニュー
①総入れ歯治療を
得意とする歯医者が少なく、
また今後も減り続ける問題
若手の歯科医師と入れ歯製作
まず最初の問題ですが、これは昔からある歯科業界の構造的な問題なのですが、総入れ歯治療と一般の歯科治療とでは根本的にその性格が異なることが原因です。
総入れ歯治療は、柔らかい歯ぐきの上に固い義歯を安定させるという技術なのに対して、一般の歯科治療は、固い歯の上に固い詰め物などを固定する技術です。入れ歯の一種である部分入れ歯でさえも残った固い歯にワイヤーなどを引っかけることによって入れ歯を安定させる技術になります。つまり、一般の歯科治療の経験をいくら積んだところで総入れ歯治療の技術は向上しません。 また、元々歯科医に訪れる患者さんの中で総入れ歯治療の患者さんの割合が圧倒的に少ないため、一般の歯医者さんでは何年経っても総入れ歯治療の技量はなかなか向上しません。
若手の歯科医師に広がる新しい技術への傾倒
その技術とはインプラントです。
インプラント自体は、その手法自体に賛否両論あるにせよ、その技術を必要とする人も多い新しい技術であり、若手の歯科医がその技術を磨こうとする行為自体全く悪いことではないと思います。ただ問題は、あまりに多くの歯科医がインプラント技術へ注力するあまりに、総入れ歯治療への関心が更に低くなってしまうという点です。インプラント技術が向上したからと言っても、現実としては全ての歯を失った患者さんが選ぶ治療方法としては、やはり総入れ歯治療が大半を占めるでしょう。
今後、日本が高齢化社会となる中で、需要がある(総入れ歯を必要としている方が増える)のに供給できない(良い総入れ歯を作れる歯科医がいない)状況は今後更に加速していくでしょう。
インプラントに惹かれる理由
インプラント治療は、若手の歯科医にとって2つの大きな魅力を持っています。1つ目は、失った歯を取り戻せるという夢のある新しい技術と言うこと。
2つ目は、保険外治療費を請求しやすい治療ということです。
現在、歯科医はその数が多すぎて市場に対して供給過剰であるため、決してどの歯科医院も経営が楽ではありません。その意味でも保険外治療であるインプラント治療の技術を身につけることは若手の歯科医にとっては魅力的に思える訳です。
インプラントの違い
②良い総入れ歯を保険の
範囲内で作ることが
事実上難しい問題
2つ目の問題ですが、この問題の根深さを語るのに適した架空の出来事を紹介します。でも、現実に起こり得る出来事です。
事例
ある歯科医院に総入れ歯を作って欲しいという患者さんが来院したとします。
この歯医者の先生が、総入れ歯治療があまり得意ではなかったとします。作った経験も少ないので、 正直やりたくないでしょう。
やりたくないのは得意でないからだけではなく、赤字になってしまうからです。
どういうことでしょうか?
事例が示した事実
総入れ歯治療は、保険点数が低いのです。ここ数年でどんどん下がり続けています。
国の歯科治療の方針が、歯周病治療の方の点数を上げて、国民の歯を残すことに向かっているのもその理由のひとつです。高齢化の進展に備え、治療費全体の予算は抑えられている訳ですから、両方の点数を上げることはあり得ません。結果として、総入れ歯治療もその憂き目にあっている訳です。
信じられないかも知れませんが、現在の保険点数で歯科医が得られる収入では、総入れ歯の材料費と技工士さんにお支払いする技工費を払うと赤字になります。
これに、自分の労働、つまり治療費を加えれば大赤字です。
この段階でアップ、アップなのに、どうしてより良い総入れ歯を作ろうして、材料にこだわったり、技工に時間をかけるなどの付加価値を付けられるでしょうか?あり得ません。保険の歯医者さんも苦しいのです。
そんなことをしたら、自らの首を絞めることになります。ただでさえ、歯科医院の経営は楽ではありません。
赤字を抑えた入れ歯づくりをした結果
そこで、先ほどの先生は赤字を最小限に抑えるために”工夫”を凝らします。
まず、材料費を削ります。悪影響として、型取りの材料の質を落とすと歯ぐきの形を再現しにくくなるため合わない総入れ歯になりがちです。次に、技工士さんへの外注費を抑えようとします。技工士さんも仕事を減らされたくないため、頂くお金の範囲内で仕事を終わらせようとします。多分、一番手間のかかる部分の作業の時間を減らすでしょう。言うなれば手を抜くことになってしまうわけです。どんどん患者さんの口に合わなくなっていきます。
最後に、先生自身が行う治療の時間を短く、治療回数を減らして、早めにこの患者さんの治療を終わらせようとします。いわゆるやっつけ仕事となっているかもしれません。
どうですか?このような総入れ歯づくりになってしまったら、良い総入れ歯が出来なくなってしまいますよね。