歯ぐきが痩せていても、口を開けて浮かない入れ歯になりました
「歯ぐきが痩せているので、総入れ歯はムリです」
そんな風に言われて、途方に暮れている方がいらっしゃいます。
「入れ歯が浮いてしまう」
「入れ歯が動いて、こすれて痛い」
歯ぐきが痩せてしまったら、安定する総入れ歯をのぞむことはできない。
そう思っていらっしゃる方は多いと思います。
実際、そう説明されることも多いです。
今回ご紹介するのは、77歳の男性の患者さんです。
お困りだったのは、下の総入れ歯でした。
※ このとき、上の入れ歯も同時にお作りしています。ここでは、下の総入れ歯についてご紹介します。
歯ぐきが痩せた方の下の総入れ歯には、困りごとが2つあります
ひとつめ。口を開けると、浮き上がってきます。
食事のたび、話すたびに入れ歯が動く。
これが「合わない」と感じられる正体です。
ふたつめ。安定しないので、噛むと痛みます。
動いてしまう入れ歯は、動くたびに入れ歯が歯ぐきをこすったり、強く押してしまい、そこが痛くなります。
この患者さんは、2つとも起きていました。
浮き上がって、安定しない。噛むと痛む。
この記事は、その2つが、どちらも解消できた話です。
まず、これを見ていただきたいのです
[写真①]下顎の石膏模型・上から

[写真②]下顎の石膏模型・斜めから
この患者さんの下顎の型を取って、石膏を注いだ模型です。
総入れ歯は、歯ぐきの「土手」の上に乗って安定します。歯ぐきの土手の高さがあることで、横揺れやズレを抑えることができます。
ところが、この模型を見て分かるように、歯ぐきの土手の高さが、ほとんどありません。
中央がへこみ、周りとの高さの差がほとんどなくなっています。
入れ歯を安定させる歯ぐきの土手が痩せてしまって、もう無い、ということです。
この患者さんは、その土手の高さがないわけですから、「難しい」と言われ続けてきたのも、無理はありません。
このような入れ歯の形になりました

[写真③]義歯の裏側(粘膜面)

[写真④]義歯を斜めから(裏側と歯が見えます)
上の2枚の写真が、お作りした下の総入れ歯の裏側です。
ちなみに次の写真は、一般的な総入れ歯の裏側を写しています。
当院が説明に使っている見本で、患者さんの入れ歯ではありません。

[写真⑤]一般的な下の総入れ歯の裏側(説明用の見本。この患者さんの入れ歯ではありません)
この写真にあるように、一般的な下の総入れ歯は、歯ぐきの高さの分、真ん中が凹んでいるのが普通です。
しかし、今回の患者さんの下の入れ歯は、真ん中の凹みがなく、ほとんど平らで、逆に凸になっている部分もあります。
歯ぐきの土手の高さがなくなると、これだけ入れ歯の形が変わります。
歯ぐきの痩せた患者さんの総入れ歯が、動きやすく、外れやすいのは、ここに原因があります。
一般的に総入れ歯は、入れ歯の内側を歯ぐきにぴったり合わせて、そこで支え、安定させます。
歯ぐきへの適合が、支えのほとんどすべてです。
ですから、歯ぐきの土手の高さがなくなってしまうと、その作り方では支えきれなくなってしまうのです。
澤田歯科医院の「包み込みの総入れ歯」
澤田歯科医院には、歯ぐきの痩せてしまった患者さんが数多く来院しているので、その状態に対応するために、「包み込みの総入れ歯」という作り方を採用しています。
歯ぐきの土手への適合(密着)だけに頼るのではなく、入れ歯を取り巻く、周りの粘膜や筋肉とも調和する形にしているのです。
唇、頬、舌。
入れ歯の周りには、動く組織がぐるりと取り囲んでいます。
それらの動きと調和する形にできれば、入れ歯は周りの組織からも支えられるようになるのです。

[写真⑥]義歯の咬合面(歯の側)。歯の側から見たところです。
ひとつめ ── 大きく口を開けても、浮いてきません
[動画①]大きく口を開けたところ。下の入れ歯が浮きません
[動画②]外そうとすると、キュポッと音がして、吸いついているのが分かります
「包み込みの総入れ歯」という考え方で作ったこの患者さんの総入れ歯は、
大きく口を開けても浮き上がりません。
外そうとすると、
吸い付いていて簡単には外れません。
音にご注目ください。 外れるときに「キュポッ」と鳴ります。これが、吸い付いている証拠です。
歯ぐきが痩せている方の総入れ歯で、ここまで吸い付く状態を作るのは、簡単ではありません。
この患者さんの総入れ歯は、このような状態まで作ることができました。
ふたつめ ── 完成した日から、痛いところがありませんでした
この患者さんは、歯ぐきが痩せて、条件は悪い状態でした。
歯ぐきの土手だけに頼って、強く密着させるようにしていたら、入れ歯が強く歯ぐきに当たるところが多く、調整を重ねて少しずつ痛みを減らしていくしかないのが通常です。
しかし、この患者さんの場合、装着した日から痛むところがありませんでした。
それは、歯ぐきの密着だけでなく、唇、頬、舌といった入れ歯を取り巻く軟組織を十二分に活用したからです。
セット後の、最初の調整にお越しいただいた時に、うかがったのは「痛くはないが、歯ぐきの頂上のあたりが少し押される感じがする」という程度でした。その部分をわずかに削って(リリーフといいます)、あたりをなくし、その後も大きな痛むところもなく、お使いいただいています。もちろん、噛み合わせの調整も行い、お口に馴染ませました。
調整がまったく要らなかったわけではありません。
ただ、痛みを取るための調整ではなかった、ということ、歯ぐきが痩せているのにもかかわらず、お口に馴染ませる調整がわずかで済んだ、ということです。
浮かないことと、痛くないことは、別々の話ではありません。
動かない入れ歯は、歯ぐきとこすれることが少なくて済みます。だから痛みが出にくくなるのです。
2年たったいまも、痛みの訴えはありません
この入れ歯が完成して使い始めたのは、2024年の9月です。
完成から、2年が経ちました。
その後も、定期的にメインテナンスにお越しいただいています。
下の入れ歯について、痛みを訴えられたことはほとんどありません。
先日のメインテナンスのときにも、下の入れ歯に痛みの訴えはありませんでした。
とは言っても、顎の骨や歯ぐきは、年月とともに変わっていきます。入れ歯が合わなくなることもあります。
そこは、メインテナンスで、しっかりフォローしていくことが大切です。
「もう無理です」と言われている方へ
「歯ぐきが痩せすぎているので、難しいです」
「骨が少ないので、インプラントしかありません」
そう言われて、諦めかけている方がいらっしゃると思います。
この患者さんも、歯ぐきはかなり痩せていました。噛むと痛み、浮き上がって安定しない状態でした。
それでも、痛みなくお使いいただける入れ歯になりました。
もちろん、すべての方が同じ結果になるとお約束はできません。
ですが、歯ぐきが痩せていることだけを理由に、諦める必要はありません。
まずは一度、ご相談ください。
→ お電話でのご相談 0422-52-0193
→ 料金表
治療内容と費用
この症例で行った治療:
上下の入れ歯の製作(自由診療) ── 下顎:総入れ歯/上顎:部分入れ歯(残っている歯があるため)
費用:1,320,000円(税込・上下あわせて)
・下顎のみの場合は 660,000円(税込)です
・このほかに、初診 6,600円/検査 19,800円/診断 26,400円(いずれも税込)がかかります
・※ デンタルローン(ジャックス)をご利用いただけます
・※ 健康保険は適用されません
通院回数:現在行っている総入れ歯づくりは「包み込みの総入れ歯」で、完成までに通常5回となっています。
遠方の方は、1回の来院で2回分を進める、2日続けて治療する、といったご相談も承ります。
主なリスク・副作用
・すべての症例で、装着時から痛みが出ないわけではありません。「包み込みの総入れ歯」を作るようになってから、痛みを訴えられる方は大きく減りました。ただし、痛みが出る場合もあります。その際は原因をしっかり見極めたうえで、痛みがなくなるまで調整を行います
・完成後、お口に慣れるまでに調整が必要になる場合があります
・お口の状態によっては、期待どおりの安定が得られないことがあります
・顎の骨は年月とともに変化するため、定期的な調整や、作り直しが必要になることがあります
・自由診療のため、健康保険は適用されません
・治療結果には個人差があります。すべての方に同じ結果をお約束するものではありません
澤田歯科医院 院長 澤田宏二
問い合わせ先
澤田歯科医院 東京都武蔵野市中町3-6-19
TEL 0422-52-0193 / お問い合わせフォーム
👉 なくした入れ歯を、沖縄から来ていただき実質2日でお作りしました
