なくした入れ歯を、沖縄から来ていただき実質2日でお作りしました
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入れ歯をなくしてしまう、ということがあります。
落とした。捨ててしまった。旅先に置いてきた。
理由や状況はいろいろありますが、患者さんは、その日からお困りになります。
人と会えない。食べられない。いつできるのか分からない。
今回、上の総入れ歯をなくされた方から連絡をいただき、沖縄からお越しになりました。
そのままお話しします。
お困りのお問い合わせが、届きました
なくされたのは、上の総入れ歯です。
下あごは、前歯がご自分の歯で残っていて、奥歯がありません。
このお口の状況は、あとで話す総入れ歯づくりにとても重要なポイントになってきます。
東京・三鷹の澤田歯科医院、院長の澤田宏二です。総入れ歯づくり34年になります。
まず、お電話でお話ししました
はじめは、メールでのお問い合わせでした。
何度かやりとりをして、費用について、急ぎの入れ歯づくりの対応についてお伝えしました。
そのあとお電話で直接お話しをしました。
遠方の方の場合、ここを省けません。
お電話でうかがったのは、2つです。
・いまのお口の中が、どうなっているか
・いつ、何日間、東京にいられるか
飛行機に乗ってお越しになるのですから、着いてから「それはできません」では患者さんも困ってしまいます。
そのようなことのないように、できることと、できないことを、来る前にはっきりさせておくことは、とても大切です。
ここまでが、まずは最初の大切な準備となります。
日程は、こうなりました
ご本人のご希望は、2日続けて来院して、入れ歯を作る形でした。そのほうが、滞在が短く済みます。
ところが、患者さんの希望と、こちらの予定が合いませんでした。
2日続けてまとまった時間をお取りしようとすると、日程が少し先になってしまいます。
その旨、患者さんにお伝えしたところ、「それなら滞在を延ばします。中の日が空いても構いません」ということになり、ご連絡をいただいたちょうど一週間後に、初めてご来院いただくことになりました。
| 日にち | したこと |
| 1日目 お昼 | お話をうかがう・お口の中を見る・型取り |
| 1日目 夕方 | ★ 噛み合わせを決める・歯を並べる・ご本人に口元を確認していただく |
| 2日目・3日目 | ご来院なし。入れ歯は、1日目の夜に仕上げました。 |
| 4日目 午後 | お口に入れて、調整 |
| その後 | 調整が必要なときに、またお越しいただきます |
中の2日は、ご来院もなく、製作もしていません。 こちらの予定の都合で空いた2日です。
ですから、実際に手を動かしたのは実質2日間です。
1日目に型を取り、その日のうちに歯を並べ、夜のうちに奥歯を並べて、入れ歯を完成させました。
そして、次の来院となる4日目に、出来上がった急ぎの総入れ歯をお口に合わせて、調整しました。
これが急ぎの入れ歯づくりの内容です。
入れ歯づくりの技工を、外の技工所に出さず、院長が自分で院内で行っているので、このスケジュールで仮の入れ歯づくりができます。
★ 1日目の夕方が、いちばん大事です
飛行機で東京にお越しになり、お昼に来院してもらってすぐに、お口の型を取り、患者さんには一旦出かけてもらいました。その後、模型を作り、噛み合わせ、歯を並べる基礎床を作っておきます。
患者さんには、夕方にもう一度お越しいただきました。
急ぎの入れ歯づくりで、いちばん大事なのは、この夕方の時間です。
ここで、次のことをします。
1.噛み合わせを決める
上下のあごが、どこで、どう噛み合うか、ここが決まらないと、歯を並べられません。
患者さんの下あごには、前歯が残っていましたので、上の歯との噛み合わせはとても大切なポイントになります。今回は、上の総入れ歯だけを作るのですが、下あごの模型も作り、歯並びを合わせることを省けません。
2.下あごの奥歯も、並べる
今回、お作りするのは、上あごだけです。
上あごだけであれば、下の奥歯まで並べる必要はありません。
しかし、澤田歯科医院では、作らない下の奥歯も並べました。
手間は増えますが、上の奥歯を自然な位置に並べて、安定した総入れ歯を作るためには、
下の奥歯を並べることも、欠かせない事だと私は考えます。
理由はあとで書きます。
3.上の前歯を並べて、お口に合わせる
ここが山場です。見るところは3つあります。
・正中 ── 前歯の真ん中が、お顔の真ん中(鼻スジ)と合っているか
・歯の見え方 ── 唇を少し開けた時、そして笑ったときに、どのくらい見えるか
・リップサポート ── 上唇の膨らみ具合。シワがよらないか、入れ歯の前歯が、唇をどれだけ押し上げるか
リップサポートは、言葉で説明してもお伝えしきれないところです。
前歯を少し前に出せば、唇に張りが出ます。前歯を引っ込めれば、口元が落ち込んで見えます。
どちらが良いか、自然かは、実際に歯を並べて、見てみないと分からないものです。お顔によって違います。
4.手鏡をお渡しして、ご本人に見ていただく
ここが、いちばん大事なところです。
歯を並べたところで、鏡を見ていただきます。
並べた歯を、その場で前後に動かし、高さを変え、また見ていただく。
出来上がってしまうと、歯の位置を変えることはできないので、初日の作る途中の段階で、しっかり患者さんにも見てもらい、確認することが大切なのです。
「もう少し出ていたほうがいい」「ここが気になる」。そう言っていただけたら、その場で直します。
ご本人に見ていただいて、納得いただけたら、仕上げに入ります。
できあがってから「思っていたのと違う」となるのが、いちばん困ります。
ですから、急いでいても、この確認は絶対に飛ばせません。
飛ばして早く作っても、お使いいただけなければ意味がないからです。

[写真1]咬合器の上に、上下の歯を並べたところ
なぜ、下あごの歯まで並べるのか
理由は3つあります。
ひとつ。上の歯の位置は、上だけを見ても決まらないからです。
前歯を、どのくらい前に出すか。歯並びの面を、どの高さに置くか。これは、下との関係がとても大切になります。下を並べずに上だけを作ると、噛み込み具合が変わってきますし、お口の中で落ち着かない入れ歯になっては困ります。
ふたつ。いずれ本入れ歯をお作りになるときの、手がかりになるからです。
今回お作りしたのは仮の入れ歯で、いずれ本入れ歯に作り替えます。
そのときに、この位置で良かった、ここは直したい、という情報があるとないのでは大違いで、ゼロから探し直さずに済む、とても有力な参考材料になるのです。
患者さんにとっても、本入れ歯を作るための大きなメリットです。
みっつ。下の入れ歯を、よそでお作りになるときのためです。
この方は沖縄にお住まいです。
将来、下の入れ歯を沖縄の歯科医院でお作りになるかもしれません。
そのとき、上の歯の位置が、頬舌的にも、高さ的にも、きちんと収まっていれば、下を作る際に困りません。
上がずれていると、下もそのずれに合わせて、安定を損なうことになりやすいのです。
作るのが誰であっても、困らないようにしておく。
そこまで想定して、患者さんができるだけ、今後困らない状況とすることを配慮して、上あごの入れ歯を作ることが大切だと考えています。
お渡しの日に、もう一歩
4日目(実質2日目)、できあがった上あごの総入れ歯をお口に合わせました。
上の入れ歯の装着感、フィット感を確認して、この方の場合は、引っ張っても外れないことを確認しました。
また、下の前歯との噛み合わせを確認して、当たるところを削り、前歯が安定して噛めるように調整しました。
見た目は、1日目に合わせてありますので、ここで驚かれることも、ズレることも、まずありません。
患者さんに鏡を見てもらい、口元の膨らみ具合、歯の見え方などを、再確認してもらいました。
そのあと、お話をしていただいたところ、サ行の音で、息が漏れる感じがあることが分かりました。
ご本人は、「このままで慣れられるか様子を見てみます」という感じでした。
しかし、まだお時間があることを確認して、発音を直すことにしました。
もちろん、長く使っていれば、慣れてしまう方もおられます。
ただ、噛めて、見た目が整っていても、話しにくければ、少し残念ではあるので、できる調整はさせていただくことにしました。
直したのは、上の前歯の裏側です
「サ・シ・ス」という音は、舌の先を上の前歯の裏側に近づけて、発音します。
新しい入れ歯で、舌の先の当たり方が少し違うと、息が漏れてしまうことがあるのです。すきまが広すぎると息が抜けますし、狭すぎると呂律か回らない、ということになります。
入れ歯には、ご自分の歯があった時にはなかった厚みがあります。
前歯の裏側は、とくに舌が触れるところです。
単純に薄ければ良い、ということではなく、発音するのに、舌がちょうど触れる適度な厚みが大切なのです。
だから、あえて舌の先が触れるように厚みを作ることもあるのです。

[写真2]直す前の、上あごの入れ歯(斜めから)

[写真3]赤いワックスを盛って、発音を確かめたところ

[写真4]樹脂で形を整えて、磨き上げたあと(斜めから)
今回、息が漏れるのを改善するために、赤いワックスを盛り足して、発音を確認しました。
息の漏れが減りましたので、そのワックスの厚みぐらいに、ピンク色の樹脂を盛り足して、もう一度、発音を確認しました。
かなり息が漏れなくなったので、形を整え、磨いて仕上げました。
どこまで息が漏れるかは、ご本人に発音してもらい、丁寧に調整をしていくしかありません。
ここまで調整できたのは、歯の位置が上下を噛ませて自然な状態としていたからです。
歯の並びそのものがずれていれば、舌房(舌のスペース)が狭すぎて、呂律が回らないような状態になり、今回のように、少し前歯の裏側を盛り足したぐらいでは、話しやすくはなりません。
1日目に下を並べて、上の位置を決めておいたから、最後の微調整だけで改善できました。
できあがった日の、お口元です
※ ご本人の承諾をいただいて、口元の写真を載せます。

[写真5]入れ歯を外した状態

[写真6]入れ歯を入れた状態
入れ歯を外していると、上唇が内側に入り込みます。
唇を支えるものが何もないからです。
鼻の下が長く見え、ほうれい線が深くなり、口角が下がります。
入れ歯を入れると、上唇に厚みが戻ります。
ほうれい線も、口角も、もとの位置に近づきます。
これが、1日目の夕方に手鏡で合わせた「リップサポート」です。
どこまで戻すかは、人によって違います。
膨らませ過ぎると、口元だけが前に出て、不自然に見えます。足りなければ、老けて見えます。
だから、ご本人に見ていただくのです。
ちょうどよいところは、ご本人の好みによりますから、ご本人のしっくりくるようにすることが大切です。

[写真7]笑っていただいたところ
上の歯が、どのくらい見えるか。ここも1日目に合わせてあります。
見えすぎれば、入れ歯だと分かります。見えなければ、笑ったときに歯のない口元になります。
お渡しの日に、この見え方で驚くことがない。
それが、1日目の夕方を省かずに、丁寧に歯並びを合わせた理由です。
急いで作るとき、何を省いているのか
正直に申し上げます。短い期間でお作りするときには、省いているものがあります。
省いているのは、樹脂を固める工程です。
ふつうの入れ歯は、型に樹脂を詰めて、熱と圧力をかけ、時間をかけて固めます。
お急ぎの場合は、そのかわりに常温で固まる樹脂を使います。だから早くできます。
しかし、そのぶん、強度が劣ってしまいます。
水分も吸いやすくなり、汚れたり、変形したりしやすくなります。
これは避けられません。
省いていないのは、合わせる工程のほうです。
・来ていただく前に、お電話でお口の状態と日程を確かめること
・下あごの歯を並べて、上の歯が収まる位置を探すこと
・正中と、リップサポートを合わせること
・できあがる前に、手鏡でご本人に見ていただくこと
・発音を確かめて、整えること
日数を縮めるのと、工程を減らすのは、別のことだと思っています。
これは「仮の入れ歯」です
今回お作りしたのは、仮の入れ歯です。
本入れ歯ではありません。
・ふつうの入れ歯にくらべて、強度が劣ります。割れたり、すり減ったりしやすくなります
・水分を吸いやすく、時間とともに変色したり、においがつきやすくなります
・歯ぐきの形は年月とともに変わりますので、いずれ合わなくなります
お使いいただく目安は、6か月ほどです。
それまでに、あらためて本入れ歯をお作りになることをお勧めしています。
その本入れ歯は、お住まいの近くでお作りになっても構いません。
当院でお作りになる場合は、あらためて検査・診断から始めて、よりお口に合う入れ歯づくりを目指します。
遠方からお越しになる方へ
当院には、北海道、九州、海外からお越しになった方もいらっしゃいます。
今回の患者さんも、沖縄からお越しいただきました。
ご遠方の場合は、1回の来院でできることをまとめて、通っていただく回数を減らす形で組みます。
今回のように、1日に2回お越しいただいたり、長時間、医院に滞在してもらい、数日分の治療を一遍に行うこともあります。
そのように工夫することで、短期間に、仮の総入れ歯を作ることができます。
日程は、患者さんと院長の都合を確認し合い、合わせます。
こちらの予定が合わないこともあります。
その場合は、どうすることが患者さんにとって最善かを一緒に考えます。
ただ、お伝えしておかなければならないことがあります。
入れ歯は、入れたあとに当たるところが出ることがあります。
ご滞在中にできる限りの調整をしますが、お帰りになってから出てくることもあります。
そのときは、お近くの歯科医院で調整を受けていただくか、また澤田歯科医院にお越しいただくことになります。
調整そのものは、どの歯科医院でもできます。 どこでも調整できる材料を使っています。
まず、お電話でお話ししませんか
入れ歯をなくしてしまった、というご相談も承っています。
総入れ歯のご相談を、院長が直接お電話でお受けしています。
・費用はかかりません
・30分ほど
・1日1名まで(事前にご予約ください)
お急ぎでの製作は、日程調整が難しく、医院の休みを使ったり、不規則なスケジュールになることがあるので、月に2名までとさせていただいています。日程のご相談も、お電話で承ります。
当院でお役に立てそうかどうかも、そこで正直にお伝えします。
お電話は、まず受付がお受けします。日時をお約束して、院長がお話しします。
TEL 0422-52-0193
★ ホームページのお問い合わせフォームからご連絡いただくことも可能です。
総入れ歯専門 澤田歯科医院 院長 澤田宏二
東京都武蔵野市中町3-6-19 / 電話 0422-52-0193
👉 遠方から総入れ歯を作りに ── 3日間あれば、丁寧に作れます
👉 歯ぐきが痩せていても、口を開けて浮かない入れ歯になりました
※ 当院の入れ歯治療はすべて自費診療です。健康保険は適用されません。【この方にかかった費用】上あごの仮の入れ歯(お急ぎ・片顎)220,000円/初診 6,600円 合計 226,600円(いずれも税込)。本入れ歯(スタンダードプラン・片顎)は660,000円(税込)で、このほかに検査・診断の費用がかかります。費用の詳細は 料金表 をご覧ください。
※ 主なリスク・注意点:すべての方が同じ結果になるわけではありません。治療結果には個人差があります。短い期間でお作りするため、ふつうにお作りする場合にくらべて精度は落ちます。お口の状態や日程によっては、同じ進め方ができない場合があります。急いでお作りできるのは仮の入れ歯です。仮の入れ歯のまま長く使い続けることはできません。装着後、お口に慣れるまでに調整が必要になる場合があります。発音のしやすさには個人差があり、調整で必ず改善するとは限りません。顎の骨は年月とともに変化するため、定期的な調整や作り直しが必要になることがあります。
