【質問】急ぎで作る総入れ歯は、デメリットはあるんですか?
【院長からの回答】
患者さんにとって、総入れ歯を早く作ることができたり、あるいは来院回数が減らせられることはメリットに間違いありません。
そういった意味で、急ぎの総入れ歯をご希望される患者さんが多くいらっしゃるのですが、ちょっと本来の目的とズレてしまうことがあるのでご説明させてください。
急ぎの総入れ歯は、あくまでも緊急事態に対応するための、例外的な治療だと思って欲しいのです。
例えば、一週間後に娘さんの結婚式があるので、どうしても歯がしっかりした状態で当日を迎えたい、あるいは、入れ歯を紛失してしまったが、接客の仕事を休むわけにもいかずこのままでは仕事にならない、などといった事態にやむを得なく行います。
このように、人生における数少ない緊急事態のためにする”致し方ない対応”とお考え頂いた方がよろしいと思います。
そのため、当院でも余程のことがないかぎり”お急ぎ総入れ歯”をオススメはしません。なぜなら、急いで作った総入れ歯は、表現の仕方は悪いですが「かなり粗く作る」ことになりますので、長くお使い頂くのには不十分なものになってしまいます。
料金も普通に作る場合に比べて割高になりますし、その上品質は落ちてしまうわけですから、当院としてもできればオススメしたくはないのです。
また、急ぎにもいくつか種類がありまして、本当に丸一日で作る場合と、最低3日ぐらい来院してもらって作る場合があります。
後者の3日ぐらい日数を要すことができると、品質的にはかなり高い総入れ歯をお作りできます。
現実的には、急ぎで総入れ歯を作りあげる日程調整をしなくてはいけませんが、明日とか1週間以内にとなると、他の通常の患者さんの予約もあり、なかなか日程を合わせることができません。
そのため、お急ぎ総入れ歯の場合でも、早くて1~2週間先ぐらいに予約をとることになるかもしれません。
丸1日予定を合わせられるのが、1~2週間先になるのであれば、それまでに3日間来院できるなら、省略をできるだけせず、品質の高い総入れ歯づくりをするのが良いと思います。
もうひとつの注意点として、最初にご説明するのは、実際にお口の中を拝見しないと急ぎで作れるかどうかも判断できません。
そのため、お急ぎ総入れ歯をご希望される場合でも必ずなるべく早く一度ご連絡頂き、メールや電話で相談するか、ご来院頂いてお口の中を拝見して初診相談させて頂きたいのです。
初診の結果、お急ぎ総入れ歯が作れないケースもあります。
例えば、患者様の歯が残っているとか、歯茎の土手の高さによって、どうしても抜歯が必要になるケースです。
最後に、現実的な総入れ歯作りのスケジュールをお伝えします。
大体、2週間ぐらいかけて、4~5回の通院をして頂くと当院でご提供できる品質の良い総入れ歯がお作りできます。
これは、4~5回の間隔を空けてもらうことで、総入れ歯作りで最も重要な技工操作の時間を省略する必要がなくなるからです。
そのように、考えると別にお急ぎ総入れ歯で1週間ぐらい時間を省略して低い品質の総入れ歯をお作りになるよりも賢い選択と言えます。
ちなみに、一般の歯医者さんの場合は、総入れ歯の技工を外部に委託しますので、1週間に1回の通院が基本となりますが、当院では院内でドクターがそのまま技工をしますので、日程調整なども患者さんとの相談次第で、間隔を短くすることもできます。
完成までの時間短縮をご希望の方はその旨ご相談ください。