総入れ歯にしてから食事が美味しくない ── 5つの原因と、確かめ方と対策
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「入れ歯にしてから、食べた気がしない」 「味が分からなくなった」 「食事が楽しみじゃなくなってしまった」
総入れ歯をお使いの方から、よく伺うお悩みです。
食べることは、一日に三度あります。健康のためにも、食べることは大切なことですし、食べることが楽しくないと、人生自体が楽しくなくなってしまいますよね。
ただ、総入れ歯にすると、美味しく食べるのは難しい、と一般的には言われていて、そう思い込んでいる人も多いと思います。
総入れ歯にして「美味しくない」のには、いくつかの原因があります。
我慢するしかないことと、手を加えれば改善できることが、混ざっていますので、
今日は、その整理をしてみたいと思います。
東京・三鷹の澤田歯科医院 院長 澤田宏二(東京都武蔵野市)
1.上あごが覆われていること
総入れ歯は、上あごを樹脂で覆います。
そうすると、上あごにある味蕾(みらい)という味を感じる器官が覆われてしまうことで、味蕾に味が届きにくくなり、味を感じられなくなってしまう、と言われています。
しかし、これは半分正しく、半分誤った認識なんです。
実は、味蕾というのは舌にも存在するので、上あごにある味蕾を入れ歯で覆っても、舌にある味蕾で、十分に味を感じることができるのです。
となると、味を感じるために、大切なのは、入れ歯の大きさよりも、味蕾で味を感じやすくするために、食べ物をいかに効率よく噛み砕けるか、という後述する噛み合わせが大きなポイントになります。
(確かめたいポイントと対策)
これは一目瞭然です。上あごが覆われているか、を確認してください。
ただし、上あごが覆われているから、味がしない、と単純に決めつけないでください。
説明したように、味蕾は舌にもあります。どうしたら、舌の味蕾で味を感じられるようになるか、改善点を探すことが大切です。(主な改善ポイントは、後述する「入れ歯の安定」と「噛み合わせの調整」です。)
美味しく食事ができるようにと、単純に上あごの樹脂をくりぬいて、上あごを覆う面積を少なくすると、上の入れ歯は外れやすくなり、かえって食事がしづらくなります。そうすると、物をしっかり噛んで、美味しく味わうことはできなくなり、本末転倒な結果になってしまいます。
2.熱い・冷たいが分からないこと
保険で一般的に使われている樹脂は熱を通しにくい材料です。そのため、上あごを樹脂で覆うと、飲み物や汁物の温度が伝わりにくくなります。
「熱いお茶なのに、熱いと感じない」 「猫舌になった気がする」という話も聞きますが、これも前の項と同じです。
上あごを樹脂から金属に置き換えることで、上あごで熱を感じやすくなる、というのは確かですが、先ほど「猫舌」という話が出たように、熱も舌で感じます。ましてや、口に熱いものを入れるときに、最初に熱を感じるのは「唇」です。
上あごを樹脂で覆うと熱がまったく分からなくなる、と言い切ってしまうのは、少し大げさな話かもしれません。
澤田歯科医院では、長期に入れ歯を使えるようにする配慮と、金属を多く使って費用が高くならないように、患者さんに金属床はあまりお勧めしていません。
総入れ歯で美味しく食べるために、大切なのは、やはり後述の「噛み合わせ」が大きなポイントだと、澤田歯科医院では考えています。
(確かめたいポイントと対策)
これも、見れば一目瞭然ですね。
上あごに金属を多く使っていれば、熱は伝わりやすいです。
上あごを樹脂で覆っている分、熱を感じる部分が減っていることは確かなので、
新しい総入れ歯が出来たばかりのころは、少し慎重に召し上がってください。
使い慣れていくうちに、熱の感じ方の、ご自分の加減がつかめてきます。
3.食べ物がほおに溜まること
「いつまでも飲み込めない」 「食後に、ほっぺた側に食べ物が溜まっている」と訴える患者さんがいます。
これは、まさに、入れ歯の噛み合わせの形に原因があることが多いです。
人間の奥歯の形には、食べ物をミキサーのように押しつぶして、上手に舌のほうへ食べ物を流す仕組みが備わっています。そのわずかな空間を「圧搾(あっさく)空間(スクイージングルーム)」といいます。
入れ歯を作るときにここを考えずに、歯を並べ、噛み合わせを作ってしまえば、食べ物が外側へ逃げてしまい、ほおに食べ物が溜まります。
「圧搾空間」に関しては、こちらに詳しく書きましたので、
興味ある方はご一読ください。
今の歯科界で、総入れ歯を作るときに、一般的になっている「リンガライズド・オクルージョン(舌側寄りで噛ませる噛み合わせ)」という噛み合わせがあります。僕も、総入れ歯を専門として開業する前は、この噛み合わせ(リンガライズド・オクルージョン)で、総入れ歯を作っていました。
なぜかというと、入れ歯を安定させやすく、作るのも、調整するのもやりやすく、比較的容易に、あまり時間をかけずに、総入れ歯の製作、調整ができるからです。とても、よく考えられた、噛み合わせ方です。
ただ、「リンガライズド・オクルージョン(舌側寄りで噛ませる噛み合わせ)」は、頬のほうに食べ物が流れやすい、という点と、歯茎が痩せた患者さんだと食事の際にすり合わせた時に、入れ歯が浮き上がりやすいという面があります。
何事にも、メリット、デメリットがありますので、どちらを大事にするかで、選ぶ形が変わってきます。
澤田歯科医院では、手間と時間はかかりますが、「フルバランスド・オクルージョン(どこで噛んでも、すべての歯が当たる噛み合わせ)」という噛み合わせを選んでいます。
それはなぜかというと、なかなか自分に合う総入れ歯が出来ない、とお困りの方を専門に診させていただいているからです。
入れ歯を擦り合わせても、頬寄りで噛んでも総入れ歯が安定する「フルバランスド・オクルージョン」という噛み合わせを採用しているのです。それは、結果として、食べ物が頬に溜まりにくいほうを選んだことになります。
(確かめたいポイントと対策)
食事のあと、ほおの内側(入れ歯の外側)に、食べ物が残っていないか。
いつも同じ場所に溜まるなら、噛み合わせの形を見てもらうと改善できる可能性があります。
4.入れ歯が動いていること
食べ物を噛むという動きは、口を開けたり閉じたり、歯をすり合わせたり、舌が動いたり、お口の中で様々な動きが行われます。
もし、この噛むという動きのたびに、入れ歯が動いたり、浮いたりしてしまうと、食べ物をうまく磨り潰すことはできませんし、食べ物が入れ歯の下に入ってしまい、痛くて噛めなくなってしまいます。
また、無意識に「入れ歯を落ち着かせるように噛む」ようになります。ゆっくり、そっと、片側だけで噛んだり、大きく口を開けるのを避けたり、入れ歯を舌で押さえつけようと無理な動きをしてしまい、自然な動きで食事をすることが難しくなります。
このような状態では、食べ物の味や食感を味わう余裕がありません。
美味しくないのではなく、味わうどころではないのです。
お口の動きを邪魔せずに、安定できる入れ歯の形を作ってあげること、入れ歯が外れたり、浮いたりするような噛み合わせにならないように、しっかり調整することが大切になります。
(確かめたいポイントと対策)
- 入れただけの状態で、お口の中で入れ歯が落ち着いているか
- 噛んだ瞬間に浮き上がらないか
- 前歯で噛み切ろうとすると外れないか
- お口を開けると、入れ歯が浮き上がらないか
ひとつでも当てはまるなら、味の問題の前に、入れ歯の安定の問題を確認して、調整することが大切になります。
5.奥歯で、磨り潰せているか
総入れ歯で美味しく食事ができるためには、ここが一番大切なポイントだと、澤田歯科医院では考えています。
日本人は、もともと穀物、野菜を主食とする食文化で、奥歯で擦り合わせて物を食べる食習慣があります。
今の若い方々は、食事も欧米化して、さらには火を通して柔らかい物を食べることが増えてきているので、それほど奥歯で磨り潰すということが多くありませんが、
戦後を生きてきた年配の方々は、基本的には、奥歯で食べ物を磨り潰す食べ方が主流です。奥歯でしっかり食べ物を磨り潰して、食材本来の旨味を絞り出すことによって、食べ物が美味しいと感じているわけです。
この食べ方をするために、圧搾空間の概念が大切になりますし、フルバランスド・オクルージョンという噛み合わせで、総入れ歯づくりをすることが重要になります。
フルバランスド・オクルージョンというのは、簡単に言うと、どこで噛んでもすべての歯が接触して、入れ歯が安定する噛み合わせを作る技術ですので、とても、高い技工技術と、手間と時間がかかります。
(確かめたいポイントと対策)
- 上下の入れ歯を噛み合わせて、人工歯の頬側の山も、舌側の山も接触しているか
- 擦り合わせた時に、すべての歯が当たっているか(よく、犬歯だけがあたることがあります)
- 前歯で食べ物を噛み切ろうとすると、奥から入れ歯が浮いてしまう
- 片方の奥歯で食べ物を磨り潰そうとすると、反対側が浮いてしまう
上のような不具合が思い当たる方は、フルバランスド・オクルージョン(どこで噛んでも、すべての歯が当たる噛み合わせ)になっていないかもしれません。噛み合わせを調整することで、入れ歯の安定が良くなり、食事を美味しく感じられるようになる可能性があります。
これらの5つのポイントを押さえた総入れ歯を作ると、総入れ歯といえど、美味しく食事を楽しむことが可能になります。
患者さんが、美味しく食事ができ、家族団らんの食卓を楽しんでいただけるように、澤田歯科医院では、院長自ら技工をして、喜びの総入れ歯をお届けできるように努力しています。
東京・三鷹の澤田歯科医院
院長 澤田宏二(東京都武蔵野市)
総入れ歯についてのご相談を、院長が直接お電話でお受けしています。
30分ほど、費用はかかりません。1日1名までとさせて頂いています。(事前にご予約ください)。
「うちで治療してください」と勧めることはありません。
まずは、いまの状況を一緒に整理するところから始めましょう。
澤田歯科医院(総入れ歯専門) 院長 澤田宏二 〒180-0006 東京都武蔵野市中町3-6-19 TEL 0422-52-0193
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※ 当院の入れ歯治療はすべて自費診療です。健康保険は適用されません。費用の詳細は料金表をご覧ください。
※ 主なリスク・注意点:すべての方が同じ結果になるわけではありません。治療結果には個人差があります。装着後、お口に慣れるまでに調整が必要になる場合があります。顎の骨は年月とともに変化するため、定期的な調整や作り直しが必要になることがあります。
